沖縄の畜産業・農業は独特?! それはなぜか、理解を深めてみよう!

常夏の島、沖縄。旅行に行きたいと思う人がとても多い県ですので、観光産業が中心なのかと思いきや、実際は畜産業・農業ともに大変盛んです。その理由は、第一に、一年間を通して10度を下回らない温暖な気候であるため。畜産が必要とする草などの飼料が豊富なこと、温暖な地域特有の農作物がとてもよく育つことから、日本の他のどの地域とも違った独特の農畜産業が行われているのです。

「子牛」の生産が盛んな沖縄の畜産業

畜産業で特に盛んなのは子牛の生産で、なんと全国でも第四位という規模を誇っています。それも、成牛まで育てて肉として売るスタイルではなく、「子牛を産み育てて、別の地域の畜産農家に売る」というスタイルが主流なのが、沖縄の畜産の大きな特徴です。出荷された沖縄の子牛たちは様々な地域で飼育され、やがて米沢牛や松阪牛などを始めとするブランド牛になっている、というから驚きです。他にも豚の生産も盛んで、その中でも沖縄県固有の種である「アグー豚」は、沖縄でしか食べられない貴重な豚として有名です。

なぜ子牛や豚の生産が盛んな理由

やはり一番の理由は温暖な気候で牧草が育ちやすいこと、更に海水の塩分が降り注ぎやすくミネラルが豊富な草になっていることがあげられるでしょう。安定した気候でのんびりと育った子牛、あるいは石垣牛などのブランド牛が、全国あるいは全世界の牛肉好きに喜ばれています。

沖縄の農業といえば「サトウキビ」

沖縄の作物といえば、サトウキビや温暖な地域で育つフルーツを思い浮かべる人も多いことでしょう。日本では伝統的に稲作が盛んではありますが、沖縄の場合はその傾向とは少し外れています。というのも、暖かい気候と農業の特性に加えて、夏には台風の被害が繰り返し発生することから、稲作には向いていないというのがその大きな理由です。もちろん稲作が全く行われていなかったわけではなく、税金の支払いのため、あるいは食料確保のために稲作も多少行われていました。しかし、時を経るにつれてそういった制度の改革が行われ、あるいは世界的な砂糖価格の上昇などから、サトウキビとサツマイモが中心になっていった、という農業のあゆみがあります。

サトウキビの生産が多い理由

また、農畜産物について影響を与えるポイントとして、気候だけでなく沖縄の土の影響も大きいです。沖縄の土壌は大きく三つに分けられますが、その全てにおいてサトウキビが育ちやすいという傾向があります。また、台風による強風でなぎ倒されたり、海水が吹き上げられて発生する塩害などの被害を受けることもありますが、生命力が強く、一度曲がってしまっても上に伸びようとし始める性質があるため、他の花や果物・野菜と比較して非常に育てやすいのです。このような理由から、沖縄ではサトウキビの生産が全国一位になるほど盛んです。

沖縄の畜産・農業が知りたければ風土について確認してみよう

異国情緒すら感じられる不思議な南の島・沖縄。日本の他の都道府県では見られない、独特の農畜産業が行われています。どうしてそういった傾向があるのか、なぜそういったことが起きているのかについては、まず気候や風土から調べてみると、より理解を深めることができるでしょう。そうすることで、沖縄ならではの食事をより楽しんだり、沖縄土産を選んだりする時のポイントにもなるはずです。