やちむんや琉球グラスなど琉球王国時代から伝わる伝統的な数々の「うつわ」
沖縄を旅行すると、街中で工芸品のお店をよく見かけます。そこにはやちむんや琉球ガラスや琉球漆器といった、沖縄を代表する伝統工芸のうつわが数多く並んでいます。これらの多くは、沖縄がまだ琉球王国と呼ばれる時代から作られたものなのです。果たして、琉球王国伝統のうつわの歴史や特徴とは、一体どのようなものなのでしょうか。
琉球王国時代からある色合い豊かなうつわたち
沖縄には琉球王国から伝わる伝統的なうつわが使われています。代表的なものとして、やちむんや琉球ガラスや琉球漆器などが挙げられます。これらは、海外との貿易が盛んだった琉球王国時代から作られた歴史あるものが多く、今では沖縄を代表するうつわとして知名度が上がりました。色合いが豊かな作品が多く、普段の生活に取り入れたいものばかりです。
独特な可愛らしさで人気の「やちむん」
「やちむん」とは沖縄の方言で焼き物のことをいいます。やちむんは厚い形状の陶器に、鮮やかさと躍動感のある絵柄が施されている点が大きな特徴です。手づくりならではの風合いと味わいを備えていて、食卓を彩ってくれること間違いありません。
やちむんの起源は古く、琉球王国と呼ばれていた1600年代まで遡ります。海外から琉球王国に陶磁器が大量に持ち込まれ、それが沖縄独自のやちむんに発展していきました。やちむんのベースとなる粘土は沖縄北部で取れる赤土です。鉄分が多くそのまま焼くと黒っぽくなるため、白土をベースとした白化粧土を上から掛けます。白土の量が少ないため、白化粧土は仕上げに使うようにしているのです。
多彩な色合いが美しい「琉球グラス」
沖縄の工芸品として有名な琉球グラス。アジアとの貿易が盛んであったことから、沖縄には比較的古くからガラス製品が持ち込まれていました。明治時代にはガラス製造が始まり、薬瓶やランプのほやなどが作られました。戦後になると、コーラやビール瓶などを溶かして再生されたガラスを用いる工法が広がったことで、多彩な色合いが特徴的な琉球グラスなどのガラス製品となったのです。1998年には沖縄県の伝統工芸品に認定され、その知名度はますます広がっています。
琉球ガラスは吹きガラスで作られ、それには宙吹き法と型吹き法と呼ばれる2つの方法があります。宙吹き法は、ベンチと呼ばれる作業台を使用するなどして空中で吹き上げていく技法のことです。型吹き法とは、金型や木型などの型に柔らかいガラスを入れて吹く技法のことです。
絵柄がぷっくり浮き出る「琉球漆器」
琉球漆器の歴史は古く、14世紀から始まった中国との貿易によって伝わったとされています。やがて琉球王国で設置された貝摺奉行所の管理の元で、琉球漆器の製造が盛んに行われていました。現代になって1974年に沖縄県指定工芸品、1986年に経済産業大臣指定伝統的工芸品となりました。年平均気温22.4℃、湿度77%の沖縄は漆器作りに適している土地柄であり、琉球漆器は献上品や海外への貿易品として重宝されてきたのです。
琉球漆器の大きな特徴は堆錦と呼ばれる技法です。堆錦モチと呼ばれる漆の塊りと、顔料を混ぜたペーストで絵柄を作り、それらを貼り付けて漆器を飾りつけます。そのため、絵柄がぷっくり浮き出て立体的なものに仕上がります。昔は日本的な絵柄が書かれていましたが、近年ではゴーヤーやパパイヤなど沖縄らしい絵柄も登場しています。
琉球の「うつわ」で普段から沖縄を感じてみよう
やちむんや琉球ガラス、琉球漆器は、いずれも沖縄を代表する伝統工芸品です。それぞれに古くから歴史があり、独自の技法で発展してきたものばかりです。日常生活に琉球王国伝統のうつわを取り入れて、普段から沖縄を感じてみてはいかがでしょうか。